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株価が上がっているのに、生活が楽にならないという矛盾

今、日本の株価がどんどん上がっています。

当然インフレで物価も上がってるというのもあるけど、私は、庶民が株式市場にどんどん参加することもあって株価が上がってるとも思っています。

でも賃金はちっともあがらない。

経済成長してるとは思えない。

庶民のお金が企業に移動してるだけなんだと思う。ちっとも企業の価値なんか上がってないと思う。(あくまで私の感覚。)

おまけに、社会保険料の上り方もえぐい。なんでこんなに、我々庶民が割りを食っているのだろう?

今回はこれらについて、整理してみようと思います。

目次

1.金融資産の「逆再分配」が起こるとき

庶民が株を買い始めると、表面上は「投資が広がる=いいこと」のように見えます。
しかし、以下のような構図になると逆に「富の移転」が起きます。

  • 株価が上がっている局面では、すでに大きく株を持っていた富裕層・機関投資家が利益を確定して売り抜ける。
  • 後から参加した庶民は高値で買って、その後の調整(下落)で損をする。
  • 結果として、「庶民 → 富裕層」へお金が移動する。

つまり、「株を持つ人が増えた=富が平等に分配された」ではなく、タイミング次第ではむしろ格差が拡大するわけです。

2.企業の利益が「株主還元」に偏るとき

日本企業は近年、「賃上げ」よりも「株主還元(自社株買い・配当)」を優先する傾向があります。
これは経営者が投資家の要求に応えようとする結果でもあります。

  • 給料(労働分配率)は上がらず、
  • 企業利益が株主(特に外国人投資家)に流れる。

結果的に、働く人の実質所得は伸びず、資本を持つ人が豊かになる。

つまり、企業価値(生産力や技術力)は変わらないのに、お金の分配構造だけが変わっている状態です。

3.金融緩和・インフレで「実質資産格差」が拡大するとき

株価上昇の背景には、長年の金融緩和と円安があります。
でもそれは次のような構造を生みます。

  • 株や不動産など「資産を持つ人」は、インフレや円安で資産価値が上がる。
  • 現金を持つ人・貯金中心の人は、実質的に貧しくなる(購買力が低下)。

庶民は消費支出の割合が高く、金融資産が少ないので、インフレ=生活防衛の難化を意味します。

つまり、株価上昇は「持つ者」には恩恵を与え、「持たざる者」には負担になります。

4.「投資教育」や「自己責任論」による心理的圧力

最近のトレンドとして、「投資しない人が悪い」「NISAをやらないのは損」という空気があります。
でも、投資は必ずしも誰にでも有利ではなく、生活防衛の余裕がある人ほど有利です。

つまり、「リスクを取れない庶民が取り残される構造」そのものが、格差の再生産を強化しています。

5.経済全体の「実体成長」がないままの株高

もし企業の生産性・付加価値・賃金が伸びていないのに株価だけが上がるなら、それは「実体経済ではなく資産価格が膨張しているだけ」です。
バブル的な側面が強く、崩壊するときには庶民の資産が最も傷つくことになります。

まとめ

今起きている現象について、表面上の事象と実際に起きている事象をまとめるとこんなかんじです。

現象表面上のメリット実際に起きていること
株価上昇資産価値が上がる富裕層が利益確定、庶民は後追い
株主還元企業が健全化労働者の取り分が減る
インフレ景気が良く見える実質賃金が下がる
投資ブーム金融リテラシーが上がるリスク負担が庶民に転嫁される

この株高は「庶民が豊かになる株高」ではなく、庶民の資金が企業と富裕層へと吸い上げられる“構造的逆再分配”の株高
経済成長ではなく、“資産価格の肥大化”が進んでいるだけという警鐘を鳴らしたいと思います。

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